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被災した物流現場を歩く(4) 仙台港―トヨタ輸送(2011/04/27)

被災した物流現場を歩く(4)


被災した物流現場を歩く(4) トヨタ自動車の物流子会社の1つ、トヨタ輸送の仙台営業所は、仙台港フェリーターミナル近くのヤードに拠点を構えている。トヨタのグループ企業である関東自動車工業の岩手工場やセントラル自動車の宮城工場で組み立て生産された自動車をヤードまで運んだり、仙台港に接岸する大型貨物船(自動車専用船など)に積み込むといった業務を請け負ってきた同営業所も、3月11日の大津波で甚大な被害を受けた。

仙台港で船積みを待っていた一時保管状態にあったプリウスなど大量の新車がヤードの内外に流された。自動車を運ぶキャリアカーも津波によって大破した。震災後、重機などを使って付近から迅速に集めてきたという被災した自動車は、そのほとんどが原型をとどめていない。まるで自動車同士の正面衝突など重大事故にでも遭ったような姿だ。外観では比較的故障個所が少なく見える自動車も、エンジンやバッテリーが海水に浸かっていることもあり、ほぼすべてが廃車扱いになるという。



被災した物流現場を歩く(4) 震災発生直後からの“二次被害”も深刻だった。新車には、船への積み込み時の運転などで必要となるガソリンが、わずかではあるものの、給油されている。それをポンプで抜き取っていく盗難事件が頻発したのだ。さらに、被災した自動車からホイールなど再利用が可能な部品だけを奪っていく“火事場泥棒”にも悩まされ続けてきた。そのため、同社では社員が交代で24時間体制での警備活動を展開しているという。

仙台港では4月16日、震災後初めて自動車の積み出し(出荷)に漕ぎつけた。フジトランスコーポレーションの「蓉翔丸(ようしょうまる)」が入港し、震災前に関東自動車工業の岩手工場で生産された完成車約300台を積んで名古屋港に向けて出港した。震災から1ヵ月が経ち、少しずつではあるが、トヨタ輸送も仙台港での通常業務を再開している。


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